桜も咲き始め、いよいよ春めいてきましたが、皆様は季節の変わり目で体調など崩されていませんか?そんなぬくぬくとしてきた先頃、例年から1ヶ月半遅れでようやく終わった我が家の年間行事があります。そう「手作り味噌の仕込み」です。割と何でも自家製主義の我が家では味噌も自家製。そしてその仕込みも今年で10年目となります。今回はそんな我が家の10年かけて辿り着いた美味しい味噌の作り方をちょっとしたコツ等も含め皆様に伝授させて頂こうと思います。
味噌の寒仕込みとは?
皆さんは「寒仕込み」という言葉を聞いたことがありますか?一年のうちで最も気温が下がる冬は、お酒やお味噌、醤油などを仕込むのに最適な時期と言われており、暦の上で最も寒い時期とされる「寒の内(1月5日ごろ~2月3日ごろ)」に味噌を仕込むことを特に味噌の寒仕込みと言います。この伝統的な技法である寒仕込みのメリットは、ゆっくり無理なく発酵、熟成が進むことで、美味しいお味噌を作ることができるということにあります。ただしこれはあくまで時期として最適!というレベルの話であり、お味噌の仕込み自体は一年中いつから始めても大丈夫です。ちなみに寒仕込みの味噌の食べ頃は、一般的に9月から10月、仕込んでから7~8ヶ月後という感じです。我が家も例年通り2月初旬に寒仕込みで味噌を仕込むべく準備を進めていたのですが、今年はあるトラブルにより残念ながらその準備がかなり遅れてしまいました。そのトラブルとは味噌の仕込みに使用している我が家の定番塩の長期欠品です。何でも今年は天候不順のため塩の収穫が出来ず未だに欠品状態が続いている状態…。そんな状況下、何とか調達に成功し、やっと一ヶ月半遅れで仕込みにこぎつけることが出来た訳です。
味噌にもいろいろ種類がある
味噌は一般的に、原料からみて、米味噌、麦味噌、豆味噌の3種類とこれらを混合した調合味噌に分けることができます。米味噌は大豆に米麹を加えて作ったもので、甘くてまろやかな味わい、麦味噌は大豆に麦麹を加えて作ったもので、香ばしくてコクのある味わい、豆味噌は大豆のみを主原料としており、濃厚で塩辛い味わいです。また作り方でも違いがあり、例えば、白味噌は麹の割合が多く塩分低めで、甘味が強く芳醇な香りとなり、主に魚の西京味噌漬けや白味噌仕立ての関西雑煮には欠かせない存在。仙台赤味噌は蒸した大豆を使って長期熟成させることで、旨みを逃さず濃厚な味わいを生み出しています。味噌と言っても一括りには出来ず、どういう料理に使うのか、どういう作り方をするのか、その味と方向性は無限に存在していると言っても過言ではありません。
10年間練り上げた美味しい手作り味噌の仕込み方
味噌の種類についてご紹介させて頂きましたが、我が家の手作り味噌は、毎日飲む味噌汁用にベストマッチな味噌を目指しています。その前提で以下のご説明もお読み頂けましたら幸いです。
美味しい手作り味噌の厳選素材は?
味噌の材料は「大豆」「塩」「麹」の3つだけ、とてもシンプルです。だからこそ逆にそれぞれの素材へのこだわり方や材料の分量比率、作り方の違い等でその味も味の方向性も自由自在に変えることが出来る。そしてその味が最終的にどんな味になるのか?は半年以上経たないと判らない…。だから思い通りのものを作り上げることが出来るようになるまで多くの時間を要する、非常に奥が深いのが味噌づくりです。我が家も最初の数年は思うように満足のゆく味にはならず、結局市販の味噌と合わせながら使用する日々が続いていましたが、なんとかここ数年で徐々にまともな味となり、昨年ようやく「コレ!!コレ!!」という味に辿り着けた気がします。そんな我が家がセレクトした今年の厳選素材は以下のとおりです。
麹
どの麹を選ぶかで味噌の種類が変わります。麦麹を使えば麦味噌に、豆麹を使えば豆味噌になります。過去には玄米麹や麦麹を混ぜて使ったりもしたことがありましたが、結果的に我が家の味噌汁としては米麹のみをたっぷり使った甘めの味噌が口に合うようです。そういう意味で現在は良質な米麹をチョイス。米麹は乾燥麹等も販売していますが、やはりせっかくわざわざ味噌を手作りする訳ですから鮮度の高い良質な生麹を使用することを強くおすすめします。
大豆
一般的には美味しい大豆が味噌の味を決める最も大きな要素だ!と言われています。
大豆にもいろいろな種類がありますが、食べて美味しいと思える大豆を選べば当然美味しいお味噌が出来上がります。そういう意味で大豆選びはとても大事です。もっとも一般的な大豆の品種は「フクユタカ」というものです。そしてお味噌づくりに最も適した品種と言われているのは「とよまさり」お味噌には糖質が高く脂肪分が低い大豆が適していると言われており、これに最もあてはまるのが、その「とよまさり」と言われています。しかし、我が家はあえて「鶴の子」という違う大豆の品種をセレクトしました。「鶴の子」は煮豆に適した大豆と言われています。「鶴の子」は独特のもっちりとした食感とずばぬけた甘みに定評がありますが、この甘みは糖質比率の高さというより糖質中の「ショ糖」の割合が非常に高く豆の自然な甘さをかもし出し、他の大豆と比べ糖質の「質」が明らかに優れていることによります。この質の良い甘さを味噌に…というのが選定のポイントとなります。
塩
我が家の料理のほぼすべての料理でお世話になっているのが、この「カンホアの塩」。塩の違いで料理の味がこんなにも変わるものなのかと教えてくれたのがこの塩でした。当然、味噌づくりでも、このお塩は欠かすことの出来ない存在なのですが、今回はこのお塩が天候不順のため収穫が出来ず長期欠品中。今現在、販売しているものはおそらく市場に流通している稀少な残りなので当然価格も驚くほど高くなっています。(2023年3月時点)
そこで今回は成分表を見て似たものを探し出し混ぜて使ってみることにしました。チョイスしたのはこのお塩です。味見した感じもカンホアの塩に近いまろやかさを感じます。
今回の我が家の味噌の仕込みに使う肝心の材料比率は以下のとおりです。甘み強めの毎日飲みたい味噌汁用の味噌レシピとなります。
生米麹・・・3kg
大豆 ・・・1.3kg
塩 ・・・860g
これで完成時は、およそ7kg程度の味噌が出来上がります。
皆様の作りたい量に合わせ、各自(比率を合わせ)計算して材料をご用意ください。
美味しい手作り味噌に必要な道具は?
味噌づくりに必須と言える道具は「豆を煮る鍋」と「味噌を保存する入れ物」そして「材料を混ぜる容器」以上3点です。我が家では「味噌を煮る鍋」兼「味噌を保存する入れ物」としてこの野田琺瑯のラウンドストッカーを使用しています。野田琺瑯のラウンドストッカーはそのまま火にかけることが出来るのでこういう時に大変便利です。
豆をガスコンロで煮るのは時間が掛かるから時短したい!という方には圧力鍋がおすすめです。但し取り扱いには十分注意して火傷しないようにしてくださいね。
もっと安価な「味噌を保存する入れ物」としてはこんな商品がおすすめです。
絶対に必要という訳ではありませんが、圧倒的に仕込みが楽になる魔法のアイテム、ミンサーです。作り始めの頃はすべて手で大豆を潰していたのですが、要する時間、翌日の疲弊度等々いろいろ鑑みると買っておいて全く損はないと今は確信出来ます。ちなみに我が家はソーセージなども自家製なのでそもそも必須アイテムではあるのですが…。
「材料を混ぜる容器」としてはこのような極厚の大きなビニール袋を推奨します。直径50cmぐらいの大きな鍋があるご家庭は不要ですが、材料を混ぜるときは想像以上に飛び散りますし服も汚れます。そういう意味でそう簡単に破れない丈夫で大きなビニール袋内で作業を完結出来れば事後処理もカンタンです。ちなみに我が家では食品用ではないこのビニール袋の内側をアルコールで丁寧に拭いてから使用しています。保存する訳ではないので、それで大丈夫だと思っています。
美味しい手作り味噌の仕込み手順
さて、すべての準備が整ったら早速仕込みに取り掛かりましょう。ただし味噌作りの仕込みは一日だけでは終わりません。二日間にわたって仕込みます。味噌作りの工程は下記の通りです。
大豆は、見た目はキレイに見えてけっこう汚れているものです。お米を研ぐ要領で豆と豆をこすり合わせるように洗います。目安は水がキレイになるまで。3回ぐらい洗えば水が澄んできます。そして大豆の乾燥重量の3倍以上の水に浸けます。大豆の量が1200gなら水は3.6リットル以上ですね。大豆が十分に吸水していないと大豆の炊きあがりがうまくいきません。時間をかけてしっかり水につけておきましょう。
大豆がきれいになったら水を替え煮込んでいきます。鍋の水位は、大豆がすべて浸かるように”ひたひた”ぐらいが目安です。煮る時間としては大型の鍋やラウンドストッカーを使いガスコンロで吹きこぼれないよう火加減を調整しながら約3~4時間、圧力鍋ならふたをして強火にかけて、圧がかかったら弱火で4~5分程度ですが、豆の大きさや品種、圧力鍋の性能等で前後するので各自ご調整ください。
豆の煮あがりは、親指と小指でつぶれるくらいの硬さがちょうどよい感じです。そこから熱々の大豆を人肌(35度前後)程度の温度になるまで冷まします。
生米麹と塩をよく混ぜ合わせます。
まんべんなく混ざるよう手と手を擦り合わせるように丁寧に混ぜ込むのがポイントです。
大豆を潰していきます。ミンサーを使うとこんな感じでとてもカンタンです。ミンサーがない場合にはビニール袋に入れ手や麺棒、瓶などを使い頑張って潰してください。
潰した大豆と塩きり麹をよく混ぜ合わせていきます。
このように袋の中で作業すると部屋の汚れが最小限で済みます。
混ぜ合わせた味噌を容器に詰めていきます。その際にいわゆる味噌団子と言われるお団子状にしてから押しこみながら詰めていきます。団子は投げ入れても大丈夫。大事なポイントは空気をよく抜くということです。お団子にするのも空気をよく抜くことが目的です。
カビ防止を目的に容器と味噌の境目外周に塩を撒き、また空気に触れないよう、落とし布や落としラップをします。さらに1~2kgの重しを載せるとさらに良いようですが我が家では重しはしていません。(カビたことがないので…。)これで完成。あとは時々蓋を開け様子を見てください。食べごろの目安は7~8ヶ月後と言われていますが、経験上5ヶ月後ぐらいから普通に美味しく食べることが出来ると思います。
まとめ
我が家の自家製味噌の仕込み方をご紹介させて頂きましたが、いかがだったでしょうか?味噌づくりはけっこう敷居が高いかもしれませんが、やってみると意外と簡単ですし、保存料などが使われている市販のお味噌とは比べ物にならないくらい美味しいものが出来上がりますので、ぜひこの機会に試してみよう!という方が一人でもいらっしゃったら嬉しく思います。その際にはご報告頂けたりしたらきっと泣いて喜びます。(笑)我が家の味噌も来年の仕込みでのさらなる進化に向け、いろいろ作戦を考えたいと思います。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
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